よくある質問

腹部超音波検査について

腹部超音波検査で描出困難で判定不能と書かれていましたが、どうすればよいですか?

腹部超音波検査の弱点として、体調により胃や腸に含まれているガスが多い時、あるいはガスが貯まりやすい方の場合、皮下や腹腔内に蓄積されている脂肪が多い方の場合などは、機械から発せられる超音波が観察したい臓器まで届かないために、結果的に観察ができないということになります。人間ドックでは、血液データなど他の情報とともに総合的に判断することから、腹部超音波検査で臓器の観察ができない場合でも、ある程度の結論は得られますが、どうしても画像情報が必要な場合は、それらの弱点がない腹部CTによる代替検査を受けていただいたほうがより正確な結果が得られると考えられます。

“脂肪肝”って何ですか?治療するためには薬は必要ですか?

“習慣的な過度の飲酒”や“脂肪や炭水化物のとりすぎなど偏った食生活(偏食、加工食品・インスタント食品なども含む)”などによって、余分な栄養が脂肪となって、肝臓の細胞に蓄積された状態のことを言います。初期は、超音波検査や腹部CT検査で、脂肪肝が指摘されるのみで、この状態までであれば、薬物療法の必要はなく、バランスのとれた規則正しい食生活、運動習慣、節酒により正常の肝臓に戻ります。ところが、長期にわたってその状態を放置することによって、病期が進行してくると、血液検査にて肝機能異常(AST,ALT,γ-GTなどの異常)を伴うようになり、慢性肝炎、さらには肝硬変、肝臓がんへと進行していくことがあります。したがって、ごく初期である脂肪肝の段階で、日常生活の改善に取り組むことが肝要であるといえるでしょう。
また、最近問題となってきている肝障害に“非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)”があります。これはアルコール非摂取者(または機会飲酒者)で、肥満、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患を背景に進行性の肝障害が発症し、時にほかの肝炎と同様に10年~20年で、肝硬変、肝細胞がんを併発することもあるというものです。

“肝のう胞”と“腎のう胞”があるといわれました。このままほっておいてもいいのですか?

肝のう胞や腎のう胞は、人間ドックを受診者の比較的多くの方に認められる腹部超音波検査所見です。肝臓や腎臓の組織の一部が脱落して空胞ができ、その中に水がたまったもので、ほとんどの場合は、特に治療などの必要はありませんが、1年に1回の定期検査を続けていただき、大きな変化がないことを確認していけばよいでしょう。ただし、のう胞のなかには次々にその数が増え、さらに巨大化していくなどの変化が見られ、それらの臓器の機能を低下させたり、周囲の臓器を圧迫したりする場合も稀にあり、また、はじめはのう胞に見えていたものが、じつは悪性腫瘍であったということもあるため、定期的な経過観察は欠かさないようにしましょう。ただし、“多発性嚢胞腎(疑い)”と判定された場合は悪性疾患の合併や、腎不全になることがありますので、精密検査や治療が必要です。

“肝血管腫”とは何ですか?切除など治療の必要はないのでしょうか?

肝臓は血管が豊富に存在する臓器ですが、その一部の毛細血管が毛糸玉のように塊を形成し腫瘍となったもので、特に治療を必要としない肝臓の良性腫瘍のひとつです。健診では、比較的多くの方に見られる肝臓の所見といえます。稀に認められる巨大な血管腫以外では、特に問題となることはないので治療の必要はなく、1年に1回の定期検査を続けていただければよいでしょう。肝臓だけでなく、腎臓、皮下等、様々なところにできるものもあります。(中には皮膚にできる海綿状血管腫という大きな血管腫がありますが、このときは精査治療が必要です。)

以前から“腎結石”を指摘されています。尿管結石で痛い思いをしたことがありますが、石をできにくくするためには、どういうことに気をつければいいですか?

尿路結石(腎臓から尿道にいたる尿路系にできる結石)とは、尿の中に含まれる成分の一部(シュウ酸やリン酸、尿酸など)が結晶を形成して“石”のような塊が形成された状態のことをいいます。結石の原料にかかわらず共通して行える結石の予防法あるいは治療法は、ふだんから“水”を多く取る習慣をつけていただくことで、結石の原料となる成分を滞りなく排泄することです。特に夏場、脱水気味になるとできやすくなります。また尿酸値の高い人も石ができやすくなります。結石の原料を多く含むお茶やソフトドリンクでは逆効果となりますので、水がもっともよいです。また、結石の原因の大部分はシュウ酸といわれていますが、シュウ酸を多く含むホウレンソウやタケノコ、ナッツ類は茹でるなどの調理法に工夫され、また、コーヒーや紅茶をよくとられる方は、それらにミルクを加えることで腸でのシュウ酸の吸収を減らすことができます。

胆のうポリープとは何ですか?

大多数の胆のうポリープは、コレステロールポリープといわれるもので、良性腫瘍といえます。1年に1回の定期検査で大きさに変化がないことを確認することで、経過観察されれば十分です。時に、10mmを超えるポリープに成長している場合などは悪性腫瘍である可能性がありますので、さらに精密検査を必要とされる場合があります。

“肝内結石(肝内石灰化)”と言われました。これは何ですか?治療の必要はないのでしょうか?

肝臓内にできたカルシウムの塊です。よほど大きいものでない限りは、ほっておいてもよいでしょう。

“腎形態異常”と書いてありました。どうすればいいですか?

腎臓の形がやや凹凸していたり、突出が目立ったりしている場合に用いる言葉です。その程度によって異常判定としたり、定期検査のみでよかったりしますので、結果報告書の判定結果A・B・C・D・E・Fに従って検査をご受診ください。

“副腎異常”って何ですか?治療が必要ですか?

ごく稀に腎臓の上に乗っかった副腎という臓器が、大きく目立ったりするときに副腎腺腫などの異常を表す場合を言います。特に高血圧や糖尿病など、何らかの基礎疾患がある場合は、精密検査の判定となることがありますので、報告書にあるA・B・C・D・E・Fのある指示に従ってください。

“胆のう腺筋腫症”で精密検査が必要と結果がでました。検査はいつ受ければよいのでしょう?

胆のう腺筋腫症とは、胆のう炎や何らかの原因で胆のう内圧が上昇した状態により、胆のう壁が肥厚したものです。胆のう壁に石ができたりすることがありますが、ほとんどの場合、症状はありません。ただし胆のう癌・腺腫との鑑別が必要になりますので、3~6ヶ月後に再検査や精密検査を受け、その後変化がなければ、年1回の定期検査でよいでしょう。

胆泥・胆砂(デブリ)とは何ですか?

胆のう炎などの時や、胆汁の流れが悪いときに、胆のう中の溜まった泥や砂のようなものです。これが徐々に固まると胆石になります。右季肋部痛などの胆のう炎症状がなければ、経過観察のみでよいでしょう。

慢性膵炎の疑いがあると言われました。膵のう胞、膵管拡張、膵石(膵石灰化)について教えてください。

これらの変化は慢性膵炎のときに多く見られますが、膵臓疾患、特に膵臓がんは発見が難しく、症状が出た時にはもう手遅れとなることがあります。膵臓の所見については、通常、良性変化の場合も、念のために精密検査の判定となることがあります。アミラーゼ値がほんのわずかに高いときも精密検査判定となることが多いのはこのためです。

膵エコー輝度異常とは何ですか?

一般に内臓脂肪が多い方で、脂肪肝を伴っている方に多く見られます。膵臓自身が脂肪変性を起こし、結果としてエコー上、白くギラギラ光ったように見えます。通常は定期検査のみでよいと判断しますが、膵臓の場合は異常所見や自覚症状が少ない場合がありますので、そのエコー検査の見え方によっては異常判定となっている場合があります。結果表のA・B・C・D・E・Fに従っていただければよいでしょう。

“脾腫”と言われました。治療が必要ですか?

脾臓が腫れ大きい状態のことです。血液疾患に合併したり、肝硬変の時に見られることが多いのですが、特殊な感染症にも見られることがあります。もし指摘があれば、CTなどで精密検査を受けた方がよいでしょう。

“脾臓内石灰化”とはどんな状態でしょう?

脾臓の中にカルシウム成分の沈着がある状態です。病気としての意義は少ないのですが、石灰化が目立つようなら再度精密検査の受診を薦められることもあります。

“副脾がある”と診断されました。手術をしたほうがいいのでしょうか?

副脾とは脾臓の隣に小さな脾臓の一部が残存したもので、異常なものではありません。ただしその形態や大きさによっては定期検査や精密検査判定とんなっている場合もありますので、結果報告書の判定結果A・B・C・D・E・Fに従ってください。

ページトップへ